設備設計を生業とする一級建築士のひとりごと

設備設計士目線からの建築。

一級建築士製図試験豆知識#1 天井懐と階高設定について

こんにちは!

今回は毎年製図試験後に話題に上がる天井懐と階高設定について設備計画を交えて書きたいと思います。

 

実務だともっと詳細な検討が必要になりますが製図試験では大枠を掴んでいればOK!という解釈だと思うので天井懐にどのくらいのスペースが必要なのかを理解すれば容易に階高を設定ができます。

 

まずは過去記事でも紹介した空調設備の違いを簡単に書いたのでそちらを参照いただければと思います。

 

井内と階高のイメージは以下の図のようになります。

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令和4年度の試験では、

空調方式は自由、換気方式も自由、排煙方式も自由となっていました。

 

高設定について

空調・換気方式がパッケージエアコン+全熱交換器の場合

基本的に空調、換気方式は過去記事でも紹介したように事務所などの室はパッケージエアコン+全熱交換器でOKです。梁下は基本的に冷媒管と全熱交換器用のダクト150φ程度が通ればいいので梁下の天井懐は天井下地100mm程度考慮すると300mm以上あればOKです。

その時の階高はOA床100mmを見込んでも4mあれば問題ありません

ファンコイルユニット+全熱交換器の場合も基本的には同じでいいです。

厳密にいうとどちらもドレンの勾配検討などあるので実務ではもう少し欲しいところですがあくまで試験元が発表してるのが正解なので気にせず進みましょう!

実務では製図試験と同じ考えはやめてくださいね。設備設計者が泣きます。笑

 

空調・換気方式が空調機の場合

この場合は各階に空調機を設置するのか、一階の機械室内に全館同一系統の空調機を設置するのかどちらのバターでも室内にダクトを通さなくてはならないので製図試験に出てくる規模であればアスペクト比、保温厚を考慮して最低でも300mmH以上必要になります。なので天井下地100mm程度考慮すると400mm以上は必要になります。

そうすると階高は4.1m必要になります。また、その時に注意したいのが無柱空間にした際、PC梁が必要になるので通常の大梁よりも200mmH大きくなります。そこにタクトを通すとなると階高はもっと高くする必要があるので平面的にかわした計画とすることが重要です。

 

ここまでは空調・換気に関して書きましたが、ここまでは基本的に製図試験対策されてる方はだいたい理解できてると思います。

今回の令和4年度の試験でわかりにくかったのが排煙方式に関してだと思います。設置の規模については法令集に載ってるので省略します。

排煙方式

排煙方式には自然排煙と機械排煙があります。

自然排煙は天井面から800mm以内の高さに室内の水平投影面積の1/50以上の開口が必要になります。今回の試験でいうとこれで設定した人は基本的に階高は4mで問題ありませんでした。

断面図や記述にも不整合なく書く必要がありますが!

 

機械排煙に関しては排煙風量は1㎥/㎡・min必要になるので事務室の排煙の場合、かなりの風量が必要になりダクトサイズもそこそこ大きくなるため梁下の天井懐は500mm程度必要になります。そうすると階高は4.2m必要になります。

 

まとめ

上記のことから、指定がない場合は空調方式はパッケージエアコン、換気方式は全熱交換器、排煙方式は自然排煙とすることをお勧めします。そうすると階高4m設定可能になります。

ただ、あくまで設備のみの話なので上階が屋上庭園だったり3m以上の天井高指定がある場合は別に検討が必要なのでご注意下さい。

 

では以上になります。

ありがとうございました!